紹介
いかにして、JTは、買収したグローバル企業の仕組みに自らを変化させていったのか?
成功への道筋は? 最大の障壁は?
近年、日本企業によるグローバル企業買収は、年々活発化、大型化している。
国内専門のドメスティック企業が社運をかけて、自社相当の、いやそれ以上の規模のグローバル競合の大手を買収し、華々しいプレスリリースとともにグローバル企業へと〝大変身〟。しかし、その成否を決めるのは、その日から始まる、
その後の相手先企業との経営統合(PMI:Post Merger Integration)という極めて地味な作業にあることをご存じだろうか。
そして、圧倒的に、成功事例よりも失敗事例のほうが多いことを。
本書は、1999年のレイノルズ買収から、2022年1月のたばこ事業部の経営統合までの22年間、典型的ドメスティック企業だったJTが、その中心をなすたばこ事業を、買収した子会社に吸収させ、真のグローバル企業へと転身していった知られざる「奇跡の軌跡」を、日系多国籍企業のグローバル化の研究者である著者が、多くの公開情報と、延べ100人に及ぶ関係者への入念なインタビューともとに、ひと昔前の「任せる経営」からさらに一歩進んだ「逆転型統合」の成功例として取り上げる貴重な一冊である。
大小問わずM&Aに関わるすべてのビジネスパーソンにおくる
最新PMI(Post Merger Integration =買収後の経営統合プロセス)のガイドとしても、役立てていただけるよう、各章のおわりに、経営学の見地からの総括を、また随所に、成功のポイントを、合計26個の「統合プロセス成功の法則」としてピックアップしている。
目次
序章
日本企業の損失
超えるべき障壁
第1章 知られざる統合プロセス
四つの経営統合の型
第五の経営統合、逆転型経営統合
JTのグローバル逆転型経営統合
逆転型経営統合プロセス
第2章 押さえるべきガバナンス
買収成立
自社の限界を知る
買収先のターンアラウンド
新規投資とブランドテコ入れ
嬉しい誤算(セレンディピティ)
まとめ│探索のステージ1
第3章 機能別での交流促進
──セールス、マーケティング、R&D、生産etc.
新たなる買収(ギャラハー)
買収とは「究極の経験者採用」
海外出向者の活用
買収先からの学び(セールス&マーケティング)
買収先への支援と協業(製造、R&D、購買)
まとめ│探索のステージ2
第4章 ボトムアップでの課題模索
──ミドルマネージャーの懸念
「任せる経営」の懸念
草の根のミラーリング活動
ミラーリングの全社展開
マイルドセブンの刷新
海外帰任者の憂鬱
経営学の視点
まとめ│共生のステージ1
第5章 トップダウンでの課題特定
──組織の硬直性
経営統合の前に立ちはだかる組織硬直性という壁
新技術の台頭
グローバルコミッティーの設立
二つの加熱式たばこ
海外出向者の枯渇
経営学の視点
まとめ│共生のステージ2
第6章 統合への具体的ステップ
──国内から生まれた組織変革の種
分散された経営資源
統合への決断
経済的合理性
日本人でもできる
経営学の視点
まとめ│統合のステージ1
第7章 全体統合への実施
──One Teamへ
逆転型経営統合の発表
グローバルマネジメント
ローカル人財からの抵抗
「任せる経営」との決別
経営学の視点
まとめ│統合のステージ2
終章 逆転型経営統合の前提条件
逆転型統合へのJTの二十三年間
逆転型経営統合の前提条件