本間 正人
Honma Masato
「教育学」を超える「学習学」の提唱者。アクティブ・ラーニングを30年以上、コーチングを25年以上実践し、「研修講師塾」「調和塾」を主宰。NHK教育テレビでビジネス英語の講師などを歴任したほか、企業や官庁の管理職や教員・医療関係者対象の研修講師を務めてきた。
現在、京都芸術大学客員教授、らーのろじー(株)代表取締役、NPO学習学協会代表理事、一般社団法人クロスオーバーキャリア代表理事、一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会理事、NPOハロードリーム実行委員会理事などを務める。
誰もが最新学習歴を更新し続ける「ラーニングコミュニティ」「学習する地球社会のビジョン」構築を目指す。 コーチングやほめ言葉、英語学習法、などの著書多数。
東京大学文学部社会学科卒、松下政経塾(3期生)を経て、ミネソタ大学大学院修了(成人教育学 Ph.D.)。
メッセージ
誰もが、社会が激変していることを知っています。しかし、それを傍観者として見ているだけで、自分自身が主体者、当事者として、その変化の担い手になろうとはしていません。
地球環境問題も、少子高齢化も、AIやロボットの台頭も、日本経済の衰退も、民主主義の危機も、手をこまねいて見ているだけ。政府(=お上)が何とかしてくれるという「カミカゼ」を待っている人、政府を批判はするけれど行動には移さない人、政府を批判する人を批判するだけでやはり行動に移さない人。そして、行動しない言い訳を並べる力だけは抜群。
そんな「情けない大人」がほとんどなのではないでしょうか?
そして、残念なことに、これは僕自身にも当てはまります。
はっきり言います。政府はあてになりません。
おそらく吉田ドクトリンをベースに、日本が高度経済成長を謳歌し、日米貿易摩擦を起こし、一九八五年くらいまでは、まだ日本政府の機能はかなり高かったのです。しかし、プラザ合意以降、ルールが変わりました。その後の日本は、これまでの手が通用しないと思いつつ、新しいモデルへの転換を図ることなく、思考停止社会に陥ってきた40年だったのではないかと。
「日本型資本主義社会の模索」などと言いながら、実は何もしてこなかったのではないか。誰かが何とかしてくれる、という、「悪い意味の他力本願」だったのではないか。
とは言え、どこから手をつけて良いかわからない。
自分が担い手になれるか自信がない。
自分が担い手になったところで、どうせ社会は変わりはしない。
そんな言い訳が聞こえてきそうです。
自己肯定感が低いだの、指示待ち族だの、子どもや若者のことを問題視し、批判的な目を向けている大人自身が、実はこのていたらく。
自己信頼が低くて、誰かに決めて欲しい、という「待ち」の姿勢にいたのではないか。
しかし、自分のことを棚に上げて、傍観者でいる場合ではありません。
まずは、大人が学ぶところから始めよう、というのがこの本の趣旨です。
そして、この「学ぶ」という概念をアップデートする必要があります。「学校の教室に集まって、先生から教科書に書いてあるような過去の知識・正解を教わる」というイメージが強すぎるのです。過去の正解は、よほど吟味しなければ役に立ちません。現在の状況に照らして、どの知識が有効かを検証するよりは、新しい道を生み出していくことが有効です。
今、学校では「総合学習の時間」「探究学習」が広がっています。導入時の狙いからはずれた面もあり、運用上の紆余曲折もありますが、昔の学校とは確実に変わってきています。そして、新型コロナウイルスの蔓延により、オンライン授業が増え、リモートで働く人が増え、ITリテラシーの平均値が上昇している今の状況は、日本復活のチャンスなのです。いや、チャンスにしなければなりません。
キーワードは、学習学、最新学習歴、自己ベストの更新、つながりを大切にした類的学習。
大人にこそ、今、学校に導入されている、探究学習が必要なのです。
大人が探究し続ける姿勢を示してこそ、子どもたちが学ぼうとするわけです。
大人が学ばなければ、日本は良くならない。
逆に大人が最新学習歴を更新してこそ、日本の未来は明るくなる。そう確信しています。
人生100年、他者とつながりながら、自分らしく、楽しく、学び続けていこうではありませんか!