1. ホーム
  2. /
  3. 書籍一覧
  4. /
  5. 書籍
  6. /
  7. 哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ
BOOKS

BOW BOOKSの書籍

哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ
BOW BOOKS 004

哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ

著者
大竹 稽/スティーブ・コルベイユ

ブックデザイン 寄藤文平

ジャンル
リベラルアーツ 
判型
A5判 並製
ISBN
9784502412615
頁数
288ページ
発売日
2021.11.25
定価
2200円(税込)

紹介

哲学を学ぶな。哲学しろ。
世界が大きく変わろうとしている今、哲学こそ、探していた最高の問題解決の技法!
近代以降デカルトからデリダまで33人の哲学者たちによる50の視点


哲学者に学べ、でも、哲学を学ぶな!???

つまり、哲学者たちの視点を学んで、その視点から、世界を見直してみよう!ということだ。
世界とは、社会であり、あなた自身の内側でもある。
哲学の大全的な本は多いが、その多くは、学説について学ぶものであって、読者が、自ら哲学する、すなわち、世界をそれまでになかった視点から見て、再定義するためのものではない。
でも、たとえば、ヘーゲルの弁証法についていくら語れたとしても、弁証法を用いて、いままさに、あなたが抱えている仕事の課題、人生の課題、恋愛の課題の糸口を見つけることが出来ないとしたら、一体何のための哲学か?!
これに対し、本書は、読者が哲学者が見いだした視点を現実の課題解決に用いるためのものである。一般のビジネス書における問題解決技法集のようなハウツー書ではない。それらがアプリケーションなら、本書は、問題解決のさまざまなOSを示し、読者がみずから、アプリケーションをつくりだしていくためのものといえる。
哲学の難点は、正確さと差別化を期するあまり、用語が難解になりがちなことだ。しかし、その訴えるところを知れば、深い共感とともに、あらたな視点を手にすることができるだろう。

そして、いままさにわたしたちがかかえる大小だまざまな問題ー仕事上の、あるいは人間関係上の、あるいは、自己成長に関する問題はいうまでもなく、いまの世界の大きな課題、すなわち現在の資本主義にかわる新しい世界にむけてのソリューションを見いだすこともできるかもしれない。


目次

もくじ

序章「見ることは、世界と関係を結び、世界を変えていくことだ」

第1章 整理の視点
1パスカルの視点 幾何学 「なぜ数学を学ぶのか?」
2ソシュールの視点 価値 「モテ顔は時代によって変わる?」
3デカルトの視点 機械 「人間はアンドロイドになれるか?」
4デリダの視点 ロゴス中心主義 「なぜ会話力が重視されるのか?」
5バルトの視点 エクリチュール 「なぜ世界が日本アニメに注目するのか?」
6ルソーの視点 社会解約 「国が先か?国民が先か?」
7マルセルの視点 実存 「コロナ禍後のあり方は?」
第1章コラム アダム・スミスが見た未来 「資本主義に生きる人間」

第2章 解体の視点
1モンテーニュの視点 懐疑 「判断中止は思考停止か?」
2ル・ボンの視点 群衆 「SNSは国を動かすのか?」
3ベンヤミンの視点 アウラ 「わざわざルーヴル美術館に行くか?」
4バタイユの視点 有用性 「なぜスマートフォンはヴァージョンアップし続けるのか?」
5フーコーの視点 パノプティコン 「いずれ二十四時間監視される?」
6ソシュールの視点 恣意性 「なぜ境界問題は難しいのか?」
7ドゥルーズの視点 差異 「みんなちがってみんないいのか、ダメなのか?」
8レヴィナスの視点 他者の顔 「顔なしはコミュニケーションできるのか?」
コラム ヘーゲルが見た未来 「歴史と自由」

第3章 探求の視点
1カミュの視点 反抗 「なぜ権威は胡散臭いのか?」
2フーコーの視点 エピステーメー 「アイディアはどこから生まれるのか?」
3サルトルの視点 状況 「新型コロナウィルスに先手は打てないのか?」
4ハイデッガーの視点 ダーザイン 「なぜ死ぬほど働きたいのか?」
5ベルクソンの視点 運動 「人生成功の方程式はあるのか?」
6メルロー=ポンティの視点 身体 「身体か精神か、それは問題か?」
7アーレントの視点 活動 「フリーターではダメか?」
第3章コラム マルクスが見た未来 「家畜人間」

第4章 発展の視点
1ソシュールの視点 文脈 「なぜ忖度はダメなのか?」
2サルトルの視点 自由 「自由が先か、不自由が先か、それが問題だ」
3クロソウスキーの視点 シミュラークル 「『私』の値段はいくらだろうか?」
4ジャンケレヴィッチの視点 道徳 「道徳の先生は道徳的な人なのか?」
5ブランショの視点 友愛 「共に生きるとは?1」
6ナンシーの視点 死 「共に生きるとは?2」
7ラカンの視点 大文字の他者 「無意識ってどんな世界?」
8ボーヴォワールの視点 自己 「『自分らしく』は何を意味するか?」
第4章コラム リクールが見た未来 「アイデンティティの受苦」

第5章 再生の視点
1メルロー=ポンティの視点 眼差し 「どこ見てんのよ?」
2サルトルの視点 投企 「人間に未来はあるのか?」
3ロラン・バルトの視点 作者の死 「これを書いたのは誰?」
4ドゥルーズの視点 ナンセンス 「できないことをするのはナンセンスか?」
5バタイユの視点 エロス 「なぜアダルトビデオに芸術性がないのか?」
6ベルクソンの視点 イマージュ 「『何でも見える鏡』があったら何を見る?」
7デリダの視点 差延 「異文化コミュニケーション能力って何?」
第5章コラム リオタールが見た未来 「アリ人間の悲惨さ」

第6章 創造の視点
1カイヨワの視点 遊び 「遊んでる?」
2パスカルの視点 繊細さ 「なぜアートは必修教科になれないのか?」
3フーコーの視点 人間 「人間に賞味期限はあるのか?」
4サルトルの視点 高邁さ  「非常事態を超える精神とは?」
5ベルクソンの視点 愛 「真実の愛にふさわしい人とは?」
6バタイユの視点 至高性 「なぜ世界が禅に注目するのか?」
7マルセルの視点 誠実さ 「愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
第6章コラム ボードリヤールが見た未来 「モノに操作される人間」

おわりに(スティーブ・コルベイユ)

著者

大竹 稽

Ohtake Kei

教育者、哲学者。 1970年愛知県生まれ 愛知県立旭丘高等学校から東京大学理科三類に入学するも、五年後、医学と決別。大手予備校に勤務しながら子供たちと哲学対話を始める。三十代後半で、東京大学大学院に入学し、フランス思想を研究した。専門は、サルトル、ガブリエル・マルセルら実存の思想家、バルトやデリダらの構造主義者、モンテーニュやパスカルらのモラリスト。『超訳モンテーニュ』『賢者の智慧の書』『60分でわかるカミュのペスト』など編著書多数。
現在、哲学の活動は、東京都港区三田や鎌倉での哲学教室(てらてつ)、教育者としての活動は横浜市港北区での学習塾(思考塾)や、三田や鎌倉での作文教室(作文堂)。詳細は大竹稽HPにて更新中。大竹稽の哲学教室HP(https://teratetsu.com/)、大竹稽の学習塾HP(https://shikoujuku.jp/)。

メッセージ

例えば、農家の人たちや繁華街の若者たちにとって、「哲学」は意味があるだろうか?ビジネスマンたちは起業を成功させる本を手に取るだろうが、哲学の本はどうだろうか?哲学には、仕事や人生を豊かに健やかにする力があるのに、なぜだろうか?本書の二人の著者は、このような葛藤を持ちながら哲学研究をしてきました。その問いに応えるために、哲学を「与えられたフレームワークの向こう側を見抜く身体的な行為」と定義しました。書籍である限り、学びであることは免れません。しかし本書にはもう一つの野心があります。それが「哲学を学ぶな。哲学しろ」です。「視点」とは身体的な行為を促すものです。「座ったままで考える」のではなく、あたかも一個のリンゴの周りを廻るように視点を変えていく。それが「哲学する」ことになるでしょう。解決に行き詰まっていたら、問題を別の視点から見てみましょう。直面している問題の解決にどの視点が適当か、その答えは誰も教えてくれません。巡りながら様々な視点を試してみてください。抱えている問題が、思いもよらなかった姿を見せてくれるかもしれません。そこに問題解決の突破口があるはずです。

スティーブ・コルベイユ

Steve Corbeil

聖心女子大学国際交流学科准教授、翻訳家。1978年カナダ・ケベック州生まれ。2008年モントリオール大学大学院比較文学科修士課程修了。2021年東京大学大学院(表象文化論コース)博士課程単位満期退学。文学、映画、マンガなど幅広く日本戦後文化を研究。さらに、日本が直面する異文化コミュニケーション問題を考察し、対策講座などを担当。2010年〜2016年静岡大学講師・准教授。ほかに、立命館大学、上智大学、法政大学、立教大学、東京大学にて非常勤講師を務めた。フランス語、英語、日本語で執筆。『翻訳とアダプテーションの倫理』(春風社 共著)など。

メッセージ

この本では、各哲学者の思想の説明に終始せず、現況をより深く理解し、問題解決のヒントとなる数々の視点を紹介している。直接的に資本主義あるいは経済に関する考察をする哲学者もいれば、そのような考察はしていない哲学者もいる。が、経済制度や政治制度は、最終的に、社会を維持するだけではなく、私たちの暮らしを支えるためにある。どのような社会でも、その土台は「なぜ生きるのか」「幸せとは何か」にある。それは私たち自身にも求められる問いであり、そのために視点は不可欠である。
したがって、この本には二つの役割があるだろう。西洋哲学の入門書でもあり、資本主義の問題を再考するための教科書でもある。ここで紹介した視点を通して、読者自身が、これまで思い浮かべなかった着想をし、そのアイディアを用いて、日々感じている疑問に答えるためのフレームワーク、そして、未来へのビジョンを創っていくことが、著者たちの望むところである。
そして、健やかで明るい未来に貢献できたら、わたしたちの労力は過分に報われるだろう。
(「おわりに」より)